QCサークル 2020年10月号(No.711)


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解説:効果の確認目標の設定で決めた,「いつまでに」が効果確認の時期です。目標達成の成否見込みにかかわらず,一旦区切りをつけて現状の実績値を確認しましょう。効果は,「ねらいとした特性値が目標のレベルに達したのかどうか」などで確認していきます。ここで気をつけたい点は,活動前(対策前)と同じ方法と同じ条件でデータを収集することです。測定器材・調査期間・サンプル数・環境などを合わせて,正確なデータで比較するようにしましょう。また,目標と実績だけではなく,活動全体を通じた効果を確認することも大事です。なお,目標が未達の場合には,対策立案あるいは要因解析に戻って必要なアクションをとってください。【効果確認の仕方】1.目標と実績(問題点の変化)目標設定のステップで設定した特性値を同一条件のもと,「対策前」,「目標値」,「対策後」で比較して,目標の達成状況と改善効果を判定します。2.問題の改善テーマに取り上げた問題(手を打った問題点を含む全体の問題)が,どのように改善されたのかを確認します。3.問題の背景問題の事実を裏づけた背景の変化を確認します。たとえば他部署との比較がどうなったのか,時系列的なデータがどうなったのか,などで表すとよいでしょう。4.活動によって得られた効果①有形の効果問題点の解消による経済的効果を,効果金額で示すと,業績への貢献度がより明確になります。②波及効果連鎖的・間接的によくなった点,たとえば,「別件の問題が同時に解消した」などの効果を確認します。また,他部署への横展開ができれば,より大きな効果となるため,積極的に取り組んでください。なお,悪い副作用が出た場合は,その対処方法を含めて明確にしておくことが大事です。③無形の効果メンバーの意欲・知識・技能の向上といった効果です。「サークルレベル評価表」などで成長の様を表すとよいでしょう。④活動費用必須事項ではありませんが,「費用対効果」の視点から,活動にかかった費用(部品代,資材費,外注費など)も把握しておくとよいでしょう。一般的に,費用の約10%が年経費(ランニングコスト)になるといわれていますので,これを経済的効果と比較して採算をみることもできます。なお,サークル活動は本来業務と位置づけられており,労働対価を評価する必要はありません。(鈴井正巳)26QCサークルNo.711


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