QCサークル 2020年5月号(No.706)


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解説:テーマ選定の仕方【問題と課題】活動テーマには,問題と課題の2通りがあります。問題解決であれば,あるべき姿に影響している「悪さ」の要因に手を打つ活動であり,課題達成であれば,ありたい姿との「ギャップ」に対する攻め所を埋める活動で,より高い品質レベルに挑戦する,経験のない新しい仕事を導入するといったケースを対象としています。このような違いがあるので,アプローチの仕方を誤らないようにしましょう。取り組むテーマには,緊急性や重要度に応じて経営レベルから個人レベルまでの段階がありますが,QCサークルなどの小集団改善活動は,まずは職場レベルの身近なテーマから取り組むとよいでしょう。【問題の見つけ方】テーマ選定の第一歩は,問題への「気づき」です。職場の環境や仕事のやり方がマンネリ化して現状維持に陥らならないように,つねに問題意識を持って,「気づき,見逃さない」ことです。次のようなことをヒントにするとよいでしょう。●NGかも?という疑問を持つ(ムリ・ムダ・ムラや,きつい・汚ない・危険,ベンチマーキングで比較,不や非がつく,など)●職場目標や品質指標の傾向を見る(件数,納期,達成率,稼働率,など)●ブラックボックス化した仕組みやプロセスを紐解く(機械の動きや製作の手順など)●後工程のニーズやクレームを知る(アンケート,工程会議,聞取り,など)このようにして気づいた問題や疑問は,その都度テーマバンクに登録しておきます。なお,顕著な異常現象に気づいた場合には,直ちに悪さの拡大や進行を防ぐ応急措置を施し,そのうえで恒久対策を目的にして取り組むようにします。【テーマの共有化】上司は経営方針をベースとした問題を,サークルは身近な困りごとを抱えています。これらの中からテーマを決めますが,上からの押しつけやサークル任せにならないようにコミュニケーションをとり,メンバー全員が,そのテーマを“自分ごと”としてとらえられるように,理解と納得のうえでテーマを決めるようにしましょう。【テーマ選定のプロセス】テーマバンクに登録されている問題を「緊急性(解決期限)・重要性(方針と整合性)・予測効果・推定費用」などの評価項目ごとに,評価基準(尺度)によって評価し,絞り込みます。絞り込まれたテーマ案は,背景の事実を確認したうえで決定します。なお,テーマバンクに登録された問題は,それが解消されるまでは生きた情報です。次回のテーマ選定時には,新たな案件を含めて再評価します。【テーマのタイトル】テーマ名は,「このような問題をこうしたい」というようにわかりやすく表現します。対策名や抽象的な言葉,あるいはスローガンのようなテーマ名にすると,活動の目的と手段や方向性を誤る場合があるので,気をつけましょう。(鈴井正巳)28QCサークルNo.706


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