QCサークル 2019年12月号(No.701)


>> P.7

特集こんなユニークで楽しい活動の仕方もあります!事例2一人ひとりの仕事を観察して共通の問題を抽出㈱井上設計チームBリーダー白木梢恵さんチームBのみなさん(左奥が白木さん)当社は岐阜市に位置し,創業33年の設計会社です。主に,保管システムや搬送システムなどの設計を行っています。モノづくりのお客様のパートナーとして,高い評価と信頼をいただけるよう,社員15名が,チームAとBを編成して活動しています。私は,チームBのリーダーを務めています。背景2017年に,関連会社の勧めでQCサークル活動を導入し,他社を参考にしながら進めています。しかし,設計業務は一人作業のため共通のテーマ選定が難しく,「図面の登録やデータの整理」といった活動が中心になってしまいます。何とか仕事の効率化やコスト削減といった,実務に直結した共通テーマに取り組めないか,問題・課題の抽出に苦慮していました。活動の仕方の工夫そこで,一人ひとりの仕事の仕方を観察してみることにしました。すると,全員がそれぞれに異なった方法でCADを操作していることがわかりました。「複数のCADシステムを使うのが難しい」という共通の困りごとでした。データ交換を円滑に行うため,お客様のCADシステムを使いますが,一人で多くのお客様のシステムを覚えるのが難しいのです。こうして,テーマを「CADによる設計業務の時間を短縮しよう!」と決めて,活動に取り組みました。「CADソフトウェア」の機能や操作を比較・検討した結果,ショートカットアイコンのデザインと配置を統一するという対策を実施しました。この改善によって,CADの使い方が難しいという共通の困りごとを解決することができました。成果これまでは,メンバーの担当する設計内容が異なり,個人のスキルの差もあって,共通する困りごとはないと思っていましたが,仕事の仕方を客観的に観察することで,問題の共有化ができました。共通のテーマに取り組むことで,一人作業といった孤独感が薄れて,仲間意識が向上しました。うーん!おや?なるほど!作業状況の観察学びどころ一人作業が中心の職場でも,見方を変えることで活動を成立させることができます。この事例では,一人ひとりの仕事を観察するという視点から,共通のテーマが抽出されています。また,個人のスキルや熟練が中心となる仕事を,標準化や統一化によって時間短縮につなげている点も参考になります。(構成河島和美)2019年12月号11


<< | < | > | >>