QCサークル 2019年8月号(No.697)


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特集匠の技能私たちはこうして伝承しています2.組織的なサポートの必要性しかしこのような進め方は,組織的なサポートがないと十分とはいえません。現在,いわゆる“団塊の世代”の本格的なリタイヤ時期を迎えて少子高齢化が進んでおり,人材の量的な不足が年々深刻化しています。また,人気業界への偏りや過去と比べて若年層の質的変化を指摘する意見もあります。「匠の技能」を有するベテランにだけその伝承を任せていては,途絶えてしまう恐れは十分にあります。組織的に「匠の技能」の伝承について対応を考えていく必要があるでしょう。そこで「匠の技能」の作業内容と必要とする人数規模の2つの観点で下記のように分類し,次頁以降ではそれぞれの分類での対応事例を紹介します。必要とする人数規模多A:単一作業&付随業務型B:単一作業&中核業務型少D:個別対応&付随業務型C:個別対応&中核業務型個別対応(作業対象が毎回異なる)「匠の技能」の作業内容単一作業(同じ作業の繰り返し)A:作業・業務を自動化・ロボット化を検討できるほどの規模はないが,一定の標準化は可能でありQCサークル活動などを活用して各職場主体で伝承していくことが望ましい。事例紹介:トヨタ自動車九州㈱,トヨタ紡織九州㈱,本田技研工業㈱B:自動化・ロボット化の検討が必要。今後はAI(人工知能)や機械学習の浸透により,一層その環境が整ってくると考えられる。事例紹介:㈱デンソー九州C:作業・業務を自動化・ロボット化は難しく,一方で多くの人材が必要なことから会社・組織として人材育成の仕組みを確立すべきである。事例紹介:TOTOアクアテクノ㈱,安川マニュファクチャリング㈱,(公財)三萩野病院D:従来どおり,各自の技能伝承(マンツーマン)に委ねるか,可能であればその技能を使わなくても済む方向性を検討したほうがよい。(尾前賢二)2019年8月号11


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