QCサークル 2018年2月号(No.679)


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1.はじめにシャープ㈱の全社推進事務局を担当してきた私にとって,QCサークル活動を通じて日常業務を改善し続けることのできる“人と組織”を育成することが使命でした。ここでは,QCサークル全社推進事務局として,活動を盛り上げるために取り組んだ事例を紹介します。2.QCサークル活動の再度全社展開に向けて【背景】トップの想いを背負って全社展開の再生を!1990年代に,生産事業本部とサービス会社を中心としたQCサークル活動を本格的に全社展開するため,私の所属するQCサークル全社推進事務局だった商品信頼性本部(以下,「当本部」)が経営企画室や人事本部と協力して,全社・全部門への導入展開を行いました。ところが2000年頃,事務・販売サービス部門や研究開発部門などの活動が形骸化し,気がつけば生産事業本部中心の活動になっていました。その状況を見かねたトップから,経営企画室や人事本部ではなく,QCサークル活動を一番よく理解している当本部が全社推進事務局となって,再度本格的な全社展開を行うように指示がありました。【課題】立ちはだかる社内の抵抗勢力当本部は,全社の品質戦略を行う本部であっても経営企画室や人事本部とは異なりモノづくり以外の研究開発本部や営業本部などへの影響力が弱く,QCサークル活動の再導入展開を呼びかけても,過去の苦い経験からか「やってもムダな活動」,「不要な仕事を増やしてくれるな」と反対勢力が強く,トップが本気でこの活動を再展開しようとしている真意に対する理解がなかなか得られず,協力体制を築くのも困難な状態でした。【対応策】トップの本気を伝えた「社内向けのマスコミ発表」人材育成や企業風土醸成のためにQCサークル活動を本格導入しようとしている“トップの本気”をどうやって各職場や社員に伝えるか悩んでいる時,“私自身,会社の重要な情報を新聞などのマスコミで知ることがあり,社内通達よりインパクトがある”ということを思い出しました。これがヒントとなって,当時の本部長と広報課長そして私の3人だけで大阪の記者クラブに出向き,「同じ活動名称で全社・全部門への展開」,「組合も積極的に協力」など他社に例のないシャープのオンリーワンなQCサークル活動としてマスコミを通じ,全社員へ知らせることになりました。つまり,「気づく化」,「見える化」の秘策として「社内向けのマスコミ発表」を行ったのです。その結果,多くのマスコミに取り上げていただき,その後の経営会議でもすんなり承認を得て,全社推進体制もスムーズに構築,全社展開の垂直立上げを行うことができました。【ポイント】知らせることは味方にすること社内向けに自社の取組みを外部のマスコミからも知らせることで,より信しん憑ぴょう性せいとインパクトのある「気づき」につなげることができました。知らせることは,味方にすることです。私はこうしてQCサークル活動を盛り上げています(QCサークル全社推進事務局編)(元)シャープ㈱全社推進事務局責任者高木美作恵事例110QCサークルNO.679


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