QCサークル 2018年2月号(No.679)


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56QCサークルNO.679連載講座で表したパレート図です。工程が進むにつれて工数や部品・原材料などが計上される分,単価はアップしていきます。それを個数で見てしまうと思わぬ判断ミスをすることがあるので,注意が必要です。図・1の例では個数では,「きず」が一番多い項目ですが,金額では「色むら」の割合が高く,損失金額全体の50%を占めています。最優先に取り組むべき項目は「色むら」です。場合によっては金額以外の指標もあるでしょう。パレート図での分析の場合,一般的には累積比率が60〜80%くらいになるまでの項目について要因を詳しく調査することが推奨されています。パレート図に関しては8月号にて,QC七つ道具の講座の中であらためて勉強しますので,ぜひ,そちらをご参照ください。企業の経営では,「企業を守って発展させる」という全体最適と,「企業内の一つひとつの部門,部署,従業員一人ひとりの満足度を高める」という局部最適とを両立させなければなりません。いわば重点指向は全体最適を達成させるために,もっとも重要な部門・部署,製品,工程などに経営資源を集中させて対応する局部最適を行うこと,ともいえます。品質管理活動では,事実をデータとして正しく把握し,客観的な判断を下す,というのが事実に基づく活動でファクトコントロールとも言います。これに相対する言葉がKKD(経験・勘・度胸)です。もちろんKKDが必要な場合はたくさんありますが,これだけでは克服できない場合にはファクトコントロールが必要になってきます。事実に基づく活動では,今,発生している現象を客観性のある数値データでとらえることが基本です。数値データには計量値と計数値の2種類がありますが,一般的には計数値より計量値のほうが,精度が高い場合が多いようです。データをとるときは,可能であるならば,計量値でとらえたほうが有効です。数値ではとらえられないような,たとえば感覚的な事象などは言語データとしてとらえます。言語データの基本は主語+述語で,そこには主観的な感情を入れず,あくまで客観的な事実を表す表現にします。特性要因図の要因や新QC七つ道具などで使用するデータはこの言語データになります。事実のとらえ方の1つに三現主義があります。三現とは,現場,現物,現実の3つの「現」を表しています。机上の空論ではなく,実際に「現場」に出向いて,「現物」を確認し,「現実」を認識したうえで問題解決をはかる,という考え方です。「現実」を「現象」という場合もあります。三現主義の発展形で,原理,原則を加えて5ゲン主義という考え方もあります。「原理」とは,現象が発生する根本的な法則のことをいい,「原則」とは,原理から生み出される活用上の規則や決まりごと(セオリー)をいいます。三現主義に比べて,その発生のメカニズムにまで言及するので,多少理系的な要素も含まれます。したがって,問題解決のためには,「現場」に行き,「現物」を見て,「現実」を知り,「原理」を理解して,さらに「原則」を作ることが大切になります。なお,5ゲン主義については2014年8月号に特集記事もありますので,必要に応じてご参照ください。見える化(可視化ともいいます)には大きく分けて2つのパターンがあります。②事実に基づく活動,三現主義③見える化


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