QCサークル 2022年3月号(No.728)


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事例1新指導員と研修生の思いを形にした社員研修関西電力㈱若手へ伝承しようと考える,ベテランの“思いと背景”当社の一部の技術系部門では,新入社員研修を行う際,現場経験の豊富な作業長が指導員となり,実技面の指導を行っています。指導員に新入社員教育の難しさを確認したところ,•何も知らない新入社員は,作業で何をするか予測できない•何も知らない新入社員に,どのように伝えれば理解してもらえるかわからないという不安を持っていることがわかり,一般的な指導方法だけではなく,新入社員に特化した対応の仕方で知識を付与することが必要(課題1)ではないかという思いを強く持っていました。また,研修体制にも変化が生じ,これまではベテラン(旧)指導員の数が新指導員の数よりも多い体制で研修を実施していましたが,ある年度から逆転することが判明したため,指導員としての経験年数の違いによる,研修生へのスキル付与レベルの低下も懸念されました。そこで,新指導員主体で新入社員研修を実施することになった場合でも,従来と同じレベルで対応知識を付与する必要がある(課題2)ことから,指導方法の改善,ならびに,指導ツールの開発を行うことにしました。技術・技能の伝承を受ける研修生の不安これまでの新入社員研修は,ベテラン指導員が中心となり,研修の中で“厳格”と“寛容”の最適なバランスを検討し,カリキュラムを提供してきました。しかし,近年の新入社員には,•「社会や人からの感謝」や「成長を感じること」を重視•「実行力」や「想像力」は不得意•「発信力」や「ストレスコントロール」に苦手意識ありという特徴が見受けられ,将来の姿がイメージできず不安に感じている研修生が多く存在していることがわかりました。このため,従来は指導者目線からカリキュラムの改善を行うプロダクトアウト的な考えで研修を行っていましたが,研修生の不安を解消(課題3)するため,新人のニーズを踏まえたカリキュラムに改善する,マーケットインの考え方も取り入れることとしました。指導方法の改善と新指導員,研修生の受けとめ抽出した課題から各種対策を立案し,評価の高い対策5つを採用しました(表・1参照)。課題1の対策:「新入社員専用指導ルールの伝達方法の改善」以前は,旧指導員の新入社員指導の経験を踏まえた指導方法を伝達教育していました。しかし,旧指導員から新指導員への一方通行となっていたため,実技研修ごとに双方向の意見交換を実施し,伝達教育の理解度向上に努めました。これにより,実習や指導に不安のある新指導員も,指導のポイントや注意点などをみんなで確認できるため,指導に対する不安を和らげることができました。10QCサークルNo.728


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