QCサークル 2021年3月号(No.716)


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事例1MADYMO(マディモ)解析業務の効率化~QCは人と仕事をひとつにつなげる~㈱マツダE&T衝突性能開発部「ばねマスサークル」これは私たち4人が結成からおよそ1年で社外発表を経験するまでのストーリーです。「事例紹介」と「インタビュー」の2部構成とします。会社紹介当社はマツダ㈱の子会社として設立され,今年43年目を迎えます。拠点は広島・三次・美祢・横浜にあり,私たちはマツダ本社構内で働いています。事業は,主にマツダ車の開発,福祉車などの特殊車両の開発・製造に携わり,自動車の企画から生産の幅広い分野で高い技術を駆使してクルマ社会の発展に貢献しています。エアバッグシートベルト図・1MADYMO解析モデル(%)100100累積比率7550250手直し原因の工数合計100Hr報告分析計算結果確認計算投入モデル作成解析方法の具体化インプット情報確認レポート作成解析モデル作成解析条件設定73732295要因分析累積比率95%580706050403020100手直し工数(Hr)手直し累積比率解析プロセス図・2パレート図事例紹介(1)テーマ選定理由私たちはCAEツール「MADYMO(マディモ)」を用いた解析業務をマツダ㈱から受託し,エアバッグやシートベルトの乗員保護性能を評価・分析することで(図・1参照),お客様の安全・安心をお守りしています。今後,この業務の拡大が期待されるため,テーマを「MADYMO解析業務の効率化」に決めました。(2)現状把握~目標設定チーム結成当初の手直し率は6.74%と自職場でもっとも悪く,手直しによる納期遅れも起き,チームの雰囲気はどん底まで下がりました。手直しをなくすことが最優先と考え,目標をに決めました。「手直し率0%」(3)要因分析まずはパレート図(図・2参照)でミスが多発した業務プロセスの2つに着目し,それぞれの要因を特性要因図で出しましたが,真因を絞り切れませんでした。しかし,「似たような要因があるのでは」との気づきから2つの特性要因図を連関図にまとめると,共通要因が見えるようになり,真因を特定できました(図・3参照)。真因①はインプットが定量的に記載されていない。真因②はチーム内の仕事の進捗が見えない。真因③は仕事のできばえ確認が不十分である。メンバーから「真因①はチーム内の要因ですか?」と疑問が出ました。そこで仕事のプロセスに着目すると,真因②と③は10QCサークルNo.716様々な現象に対応できるツールリーダーがいつも忙しそうだった明確な答えがなく標準化できない作業手順が確立されていない条件設定方法が複数ある車,ダミーの構成部品が多いMETのスキルが見える化されていないパラメータが多く並列構成になっている先進的な業務詳細な委託手順がない相手のスキルをわかっていないこれまでと同じやり方で委託していた現象が複合で難しい専門的な高い知識,技術が必要適宜,報告しながら決定していくプロセス客先は口頭で十分伝わると思っている経験不足スキル不足詳細が決まっていない状態で受託しているインプットは口頭で伝えられ不十分自分で責任をもってやりきろうとしていた〈なぜ,解析条件を正しく設定できなかったのか〉OJTが有効なスキル習得手段〈なぜ,解析モデル作成を間違えたか〉客先が忙しく時間がとれない客先の要望詳細の内容はmtgで確認している委託帳票に記載しているインプットが曖昧書面でインプットが欲しいが強く要望できない担当者はチェックを依頼してないリーダーのチェックが遅い進捗遅れに気づけなかったチェック手順がない業務で手いっぱいでチェックが遅れた育成のためにできるだけ自分で考えさせていた委託元の要求を間違って解釈した仕事のできばえ確認が不十分作業を行うのに手いっぱいだった適正な業務調整ができていない相手のスキルをわかっていない真因①インプットが定量的に記載されていないできて間もないチーム担当者に任せて問題ないと思っていた作業者意識になっている定量的に記載されていない言い過ぎると関係性が崩れるチームの仕事の進捗が見えない業務を作業レベルまで分担している派遣⇒請負の意識変革ができていない帳票に記載欄がないGrの風土担当者は一連のプロセスを実施できるスキルがない真②ーム内の仕事の進捗が見えない図・3連関図もともとは支援業務を行っていた真因③仕事のできばえ確認が不十分


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