QCサークル 2019年8月号(No.697)


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特集匠の技能私たちはこうして伝承しています技術・技能伝承は,団塊世代が退職を迎える2007年までにこの世代が持っている技術・技能をいかに若手に伝承するか,企業が積極的に取り組んだ問題でした。そして現在は,この団塊の世代が既に退職し,その子ども世代がベテランとして企業を支えている状況でしょう。いつの時代も,技術・技能の伝承は必須のことであり,かつ,特に人の五感に基づいて行われる技の世界では,簡単に伝えることが難しいため匠の技と呼ばれることが多くあります。匠の技で,まず思い浮かぶのは日本の伝統工芸,たとえば,九谷焼,有田焼などの陶器,会津塗,輪島塗などの漆器,また,織物では,九州だけでも博多織,久留米絣,小倉織,本場大島紬などがあります。匠の技は,それぞれ地域に根ざした素材と織人の技の融合で生まれたもので,現在までその技が連綿と受け継がれています。たとえば,陶器では,持ちやすさや使いやすさを考えた器の形(曲線)などは触れた指先の感覚を頼りに作られるとのことで,まさに職人技の世界なのです。企業も同様です。今後,ますます生産労働人口が減少する中,いかにして人を確保し,その個々人の能力を伸ばし,いかに先人の技術や技能を吸収するかが,今,企業の成長のための重要なカギとなっています。今回の特集では,このような技術・技能の伝承が,職場でどのように行われているのか,サークルの活動だけでなく,企業活動としての取組みも併せて紹介します。最後まで,おつきあいください。(久野靖治)九州編集小委員会8月号特集メンバー委員長/久野靖治委員/榎本干年,尾前賢二,折原正明,川島英昭,葛谷亜矢子,原田政実,淵上知幸2019年8月号9


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