QCサークル 2018年8月号(No.685)


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1.他人の話を聴くのは意外と難しいQCサークル活動で活発に意見が出されるのは大変すばらしいことです。しかし,メンバーが好き勝手な発言をしてしまい,収捨がつかなくなるようなケースはないでしょうか。会合を開く目的はたくさんの意見を集約し,自分たちが次に何をすべきかを意思決定することです。正しい意思決定をするためには,他人の発言をよく聴き,発言の内容をしっかりと理解することが求められます。人は互いに会話をしている中で,実は相手の話を聴いていないといわれています。相手の話を聴いているふりをしながら,次に自分が何を発言しようかを考えているのだそうです。会話がかみ合わない場面は相手の話をしっかりと聴いていないことの表れではないでしょうか。2.相手の話を聴き続ける難しさを体験してみよう!まずは,簡単な方法で他人の話を聴き続ける難しさを体験してみましょう。職場の同僚と簡単なテーマ(最近のできごとなど)で話をしてみてください。その際に相手の話を3分間聴き続けてください。話の途中で質問をしたり,自分の話をしたりするのは一切禁止です。とにかく黙って相手の話を聴き続けてください。この方法を実践すると,3分間がどれほど長いか,また,人の話を聴き続けることがとても大変であるということが体験できます。会話の途中についつい違うことを考えてしまい,自分も喋りたくなってしまいます。それほどに私たちは会話の中で相手の話をしっかりと聴いていないのです。3.相手の話を聞いてから発言するトレーニング方法相手の話を聴いたうえで自分が発言をする簡単なトレーニング方法があります。これは相手の発言内容を要約して「あなたは今,こういう内容の発言をしました」と確認してから自分の意見を加える方法です。この方法を実践すると,相手の話を要約しなければ自分が発言できないので,相手の話を聴く姿勢になります。さらに,相手の話を要約してから自分の意見を追加しますので,メンバーの発言内容が発散して収拾がつかなくなるような事態を回避できます。マンガでも紹介したとおり,会合の中で発言ができなかったメンバーがいたとしましょう。これを避けるためには,発言の順番をあらかじめ決めておき,その際に上述した相手の話を要約してからのルールを適用すると,必ず全員が発言できますし,発言の内容が深くなっていく効果を得ることができます。4.多くの意見を集約するためにグループでの話し合いにおいて発言をする際には,自分の発言が「質問」,「感想」,「提案」であるのかを事前に伝えるのも重要です。全員が感想ばかりを口に出していては意思決定につながりませんし,逆に質問ばかりしていても同様です。サークル活動は職場の改善を行うことが一番の目的ですから,できるだけ提案に近い発言がなされるとよいです。そのためにも,他人の発言をしっかりと理解したうえで自分の意見を出すことで建設的な議論が深まるでしょう。また,必要に応じて発言内容を質問,感想,提案に層別して,話し合いの内容に偏りがないかを確認してもよいでしょう。サークルの形成期にはメンバーのモチベーションが高く,会合でたくさんの意見が出されると思います。その反面,議論がまとまらないことが考えられます。限られた時間内で有意義な結論を導き出すためにも,まずはメンバーの話をちゃんと聴くトレーニングをしてはどうでしょうか。(永井一志)学ぼう!コミュニケーションスキル2018年8月号11


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