QCサークル 2018年6月号(No.683)


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2018年6月号35体験事例1す。そして,撮影の準備を行い,患者さんを呼び入れ,撮影します。撮影後は画像がブレていないか,目的診断部位は十分撮っているかの確認を行い,患者さんに退出してもらいます。最後に,最適な条件で画像処理を行い,PACS(*1)に画像を送信します。*1:PACSとは,画像データを保管,閲覧,管理することを目的とした医療用画像管理システムここまでの一連の流れで,オーダーの確認方法や情報入力者・画像の最終確認者は決まっておらず,忙しい時は確認作業も手薄になっているのが現状です。そこで,チェックシートを作成し,約1ヵ月間,エラーを起こした,または起こしそうになった事例のデータを集めました。その結果,エラー発生件数は対象者2,000件中12件で,これは全体の0.6%でした(図・2参照)。この12件のエラーの内訳を図・3に示します。作業工程別では,83%に当たる10件が撮影前の準備段階で発生していることがわかりました。また,撮影準備のエラー10件の内訳は,患者情報入力間違い4件,撮影情報入力間違い3件,時間指定の撮影に遅れてしまった2件,違う患者を撮影しそうになった1件でした。また,この間の撮影技師別にエラー件数を比較したところ,エラーを2件起こした技師が3名,1件起こした技師が4名であり,全員がエラーを起こしていました。ここで,これらのエラーがどんな問題を起こすかについて「患者情報入力間違い」を例に説明します。たとえば,Aさんの検査を行ったのに間違えてBさんのカルテナンバーを入力し検査を行ってしまった場合,Aさんの画像は,Bさんの画像として認識しPACSに送信されてしまいます。そうなれば,Aさんの画像が送られてこないことになり診察の妨げになったり,最悪の場合は,医師の誤診につながってしまう可能性があります。ただし,今回のデータとり期間で発生したエラーは,撮影後の画像確認作業時など,診察前の段階で気づいているため,大事には至りませんでした。撮影前準備の時に発生しているエラーは未然に防ぐことができると考え,撮影前準備で発生したエラー発生率0.5%を平成28年11月5日までにゼロ%にするとし,活動計画を立て取り組むことにしました。4.目標設定図・2エラーの発生状況調査図・3エラーの内訳調査時期2016年2月23~3月21日対象件数2,000件①エラー発生件数12件エラー発生率0.6%②2.4日で1件のエラーが発生している③168件で1件のエラーが発生している1日の平均撮影件数==約70件(日曜・祝日を含めた平均)2,000件29日0102030405060708090100024681012123累積比率エラ(%)(件)件数撮影時の時1件撮影後処理の時1件撮影前準備の時10件患者情報入力間違い4件撮影情報入力間違い3件時間指定撮影忘れ違う患者を撮影しそうになる2件1件撮影前準備の時のエラー10件の内訳作業工程別パレート図図・1一般撮影検査の流れ6月号_体験事例1_5.9.INDD3518/05/159:59


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