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私たちの活動を見てください①特集【介護職場編】●改善の内容取組みとしては,自分たちは本当に患者様の立場に立って介護ができているのか,自問自答の中で,フランス生まれの愛情あふれる認知症ケアである「ユマニチュード」と出合い,取り組みました。ユマニチュードとは,イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの2人によって作り出された,知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づいたケアの技法です。この技法は「人とは何か」,「ケアする人とは何か」を問う哲学とそれに基づく150を超える実践技術から成り立っています。認知症の方や高齢者のみならず,ケアを必要とするすべての人に使える大変汎用性の高いものといわれています。「見る」,「話しかける」,「触れる」,「立つ」の4つの柱と「出会いの準備」,「ケアの準備」,「知覚の連結」,「感情の固定」,「再会の約束」の5つのステップを使い,ケアを行っていきます(図・3参照)。ユマニチュードについて病棟全体で学習会を行い,職員間でのロールプレイ練習を繰り返しました。そしておむつ交換時の患者様の介護抵抗による興奮の場面で自己学習によるユマニチュードを実践していきました。●BEFORE&AFTERユマニチュードを実践しながら,おむつ交換の手技の確認と講習を行ってレベルアップをはかった結果,患者様と関わる時間が取組み前後で大幅に増えました(図・4参照)。●改善によって喜んだのは誰ですか?活動の結果,患者様とのコミュニケーションがスムーズとなり,興奮による介護抵抗も大きく軽減し,おむつ交換がスムーズに行えるようになりました。その結果,余剰の時間ができ,患者様への個別に関わる時間に還元することができました。●まとめ重度の認知症患者様の看護・介護治療は,スタッフの体力的な負担は大きいと思います。それを患者様の気持ちに寄り添って,新しい取組みである「ユマニチュード」を真剣に学び,患者様の介護抵抗も大幅に減少するという成果を上げたことはすばらしいと思います。患者さんもとても喜んでいるでしょう。(下田敏文)図・3ユマニチュードとは取組み前0~10分75%10~20分10%20~30分5%30分以上0%無回答10%取組み後無回答10%0~10分8%10~20分10%20~30分17%30分以上55%図・4取組み前後の患者様と関わる時間の変化2018年6月号11