QCサークル 2018年5月号(No.682)


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東海編集小委員会5月号特集メンバー委員長/藤本高宏委員/小笠原三枝子,上村常夫,佐脇由幸,白井良史,鈴井正巳,高木佳寿子,戸屋一彦,野中恵子,前田義人,八木雅弘,山田益久,和田幸敏今回は,生産工程などの改善に「速っ!軽っ!安っ!楽っ!」と,活用されている「からくり」を取り上げました。「からくり」とは,「茶運び人形」に代表されるように,重力・圧力・ぜんまい・バネといった自然の力を利用してモノを動かす機械的な仕組みのことです。省エネで効率が良く,地球環境にやさしい優れものの「からくり」ですが,いざ具体的なしかけを練ろうとするとなかなか良いデザインが出てきません。一般的に,モノを動かす要素には「回転・上下・前後/左右・旋回/起伏」があります(図・1,表・1参照)。これらの要素を単体または組み合わせて,いかに期待する機能をデザインするかがポイントであり,それが「からくり」づくりの醍醐味です。また,「からくり」の始動と次工程へのつなぎ方(人為的な動作または工程の動力)についても工夫しなければなりません。「からくり」のしかけをつくるためには,柔軟な発想と幅広い知識が求められ,常日頃から多くの事例に接するとともに,遊び心(玩具,工作,ゲームなど)を養うことも重要です。そのため,「からくり」の動きが複雑になると実践経験が必要となり,サークルメンバーだけではなく,「からくり」技術の専門部署と一緒になってつくり込むこともあります。支点支点上下(起伏)上下回転前後左右回転(旋回)表・1モノを動かす原理・機構例要素動作イメージ利用できる原理・機構例回転対象物内にある軸で回転ころ重力(起き上がりこぼし)上下対象物軸を上昇/下降重力(エレベータ・滑車)スプリング・エアダンパーバランサ(やじろべえ,テコ)前後左右対象物軸を横に移動玉(ベアリング・コロコン)重力(錘)・バネ・磁力・風力旋回起伏対象物外の支点を軸にして回転(旋回)・上下(起伏)ターンテーブル・ベアリング重力(エレベータ・滑車)スプリング・エアダンパーバランサ(やじろべえ,テコ)図・1モノを動かす方向本特集では,「からくり道場訪問記」と題して,豊田合成㈱におけるからくり改善のノウハウと,各社のQCサークル活動(小集団改善活動)から生まれた「からくり事例」を紹介します。「やってみよう!ここにも使えるぞ!改良のヒントになる!」といった声があがって,QCサークル活動における改善策のアイデア出しの参考となれば幸いです。(八木雅弘)写真提供(一社)犬山市観光協会茶運び人形からくりは特集2018年5月号9


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