QCサークル 2023年6月号(No.743)


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1.活動レベルに応じた指導の方向性QCサークル活動(小集団改善活動)の成長レベルを「活動導入期」,「活動展開期」,「活動定着期」の3つに分類し,それぞれに応じた指導の方向性を示しました(表・1参照)。推進者・推進事務局として,活動を始めて間もないピヨピヨサークルと,すでに他サークルの模範となっているベテランサークルへの指導手段はおのずと変わってきます。もちろん,活動に悩んでいる点も違うので,推進者・推進事務局はそれぞれに合った指導を進めることが重要です。本号では,【ピヨピヨサークル】に焦点をあてて,サークルとしての特徴や指導の進め方を中心に解説していきます。表・1サークルの活動レベルに応じた指導の方向性(例)成長レベル項目活動の自主性に対する指導方針サークルリーダーの選出手段活動導入期(ピヨピヨサークル)自主性への理解や認識を深めることを主体にする職場・ラインの責任者(上長からの指名)テーマ選定の視点職場の容易な問題(困りごと,面倒なことなど)やさしいQC手法・パレート図・特性要因図他基本学習(習得)と活動を通じた実践(ステップリーダー制)問題解決への活用手法サークル内でのスキルアップ方法サークルの特徴と推進者の指導姿勢活動展開期(中堅サークル)メンバー全員が自主性を持って取り組めるよう育成する職場・ラインの責任者,またはそれに続く人(相互推薦)職場任務(QCDSME)への問題,目指すべき課題の取上げ・難易度の高い課題にも挑戦一般的なQC手法・QC七つ道具・新QC七つ道具メンバーのスキルマップと育成計画に沿った取組み(活用機会による弱点克服)活動定着期(ベテランサークル)自主性が確立し他サークルへの派生(好影響)を促進するサークル内で決定(リーダーの交替制)職場の問題・課題に加えて後工程/お客様満足度向上・難易度の高い問題を多く選定QC手法,品質管理手法・QC七つ道具/新QC七つ道具・SQC,IE/VEなども活用指導マニュアル作成とノウハウの伝承(勉強会,相談会開催)活動を進めるための基礎能力習得の時期,管理者主導でサークルを育成職場全体の目標や成果を意識しながら柔軟に役割適用,サークルが自主的に活動するよう仕向ける自律的・自己改革的な創造性を発揮,取組みに問題がある時のみ助言する(出典:「QCサークル推進者コーステキスト」,日科技連P.251,2022を参考に作成)ピヨピヨサークルの特徴と指導のポイント◆諦めることがないように支援する◆活動を始めて間もないサークルは,改善意欲はあるものの運営そのものが空回りすることもよくあることです。結果を急ぐあまり「努力しているのに成果(変化)が見えない」と,早々と諦めることがないように支援することが重要です。“QCサークル活動は即効薬ではなく漢方薬”といわれます。推進者・推進事務局は地道にあせらず,じっくりとサポートをしましょう。◆食わず嫌いにならないようにする◆ピヨピヨサークルに対する指導としては,QCサークル活動への正しい理解と認識を深め,先入観による「食わず嫌い」にならないようにすることです。小さな成功体験でもよいので「やった,できた」の感動を与えることから始めます。そのためには,メンバー各自が日頃から困っている職場の問題,面倒に思っている共通作業などからテーマに取り上げるよう指導するとよいでしょう。◆最初の一歩を楽しませる◆この時点では,ある程度推進者・推進事務局が主導した育成が望ましいとされています。どんなに有名なアスリートも,子ども時代の足取りはヨチヨチです。最初の一歩の成功を楽しみ・喜ぶことが,その先の成長につながります。24QCサークルNo.743


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