QCサークル 2023年2月号(No.739)


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1.事例紹介ここでは1月号で紹介したIEの問題解決ステップに従い具体的な事例で考え,その後にQCストーリーの問題解決型にあてはめ両者のつながりを考察したいと思います。(1)事例概要[1]【事例会社】業種:コールセンター象者:オペレーターを直接指導する管理者対業務内容:お客様との電話・メールのやり取り・申請手続き外部環境:近年の情報漏洩・誤登録に対するリスクが増大している主補助業務:メール,システム登録のダブルチェック業務:オペレーターの育成,問合せの二次対応,業務進捗管理・報告ある企業のコールセンターでの管理者業務の改善事例です。みなさんの会社,職場にも電話やメールでお客様とやり取りをする場面があるかと思います。近年はメールの誤送信,申請手続きの誤登録による個人情報漏洩は,規模にもよりますが個人情報保護法の観点でメディアでも大きく取り上げられています。ひとたび起きれば社会的な信用失墜にもつながる状況です。そのためメールや登録業務を行うオペレーターを直接指導・管理する管理者は,そのようなことが発生しないようにチェック体制の整備など苦労をしていると思います。しかしながら管理者は,オペレーターが業務に集中できるようにしながらも,コールセンターのサービスレベルを維持する役割があります。本来管理者は,業務の進捗管理,問合せでの不明点の解消,オペレーターの育成に時間を使うべきなのですが,管理者タスクが多く,本来やるべきことができていない状態です。繁忙期に合わせ,11月までに,新人オペレーターを採用,育成の工数捻出をすることが直近の課題です。管理者のタスクが過多であり,本来やるべきことに時間をかけられず,11月からの新人オペレーター育成の工数捻出が課題でした。そこでテーマを「管理者の工数低減」とし,改善活動を開始しました。2023年2月号59②問題の明確化このコールセンターでは,メール誤送信の防止の観点から,管理者によるダブルチェック後の送信,各種申請のシステム登録作業を間違いなく行うために,管理者と2名体制で確認・登録を行っています。現状における管理者の1日の業務を現状把握したところ,チェック作業にかかわる2業務で3時間30分かけていることがわかりました(図・2参照)。メール送信チェック取消申請のシステム登録チェック問合せ不明点解消上司依頼対応残務対応日次MTG引継ぎ確認開始準備0:300:300:302:001:301:301:001:00チェック作業に時間分もの時間が発生図・2業務の現状把握チェック作業について,さらに工程分析で業務を詳細に分析しました(図・3参照)。(2)IEの問題解決ステップで考える①問題の認識


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