QCサークル 2022年2月号(No.727)


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「でもビールって,どうしても夏のイメージよね。それにコロナ禍で外食の機会も減っているし,独り飲みで缶ビールばかりっていうのも少し違っているようだけど?」●調査データから,もっとも販売比率の高い家庭用缶ビールをターゲットに絞り込み,販売戦略を考えることにしましたが,本当に正しい分析ができたのでしょうか…。《層別を極める1》層別によって正しい情報を引き出し,問題解決につなげる今回のテーマは「層別」です。層別とはその名の通り,全体を「層に分別する」ということですが,層別をQC七つ道具の一つとすることに抵抗がある方もいると思います。層別自体は手法というよりも考え方であり,QC七つ道具(たとえばパレート図やヒストグラム,散布図,管理図など)と組み合わせて使います。層別は,層の中での分布や,異なる層の間の分布の違いを調べて,ばらつきの原因を探ったり,データを分けてグラフ化し比較することで,問題解決のヒントが得られることがあります。「分ければわかる」という言葉がありますが,上手に層別し意味のあるデータにすることで,正しい情報を引き出し,問題解決につながることをいっています。層別するための分け方(カテゴリー)としては,共通点や同じ特徴を持っているグループに分けることが重要です。一般的には,表・1に示すように4M(Man,Machine,Material,Method)や時間,環境などに着眼するのがよいとされています。類分人別機械・装置別原材料別作業方法別時間別環境別その他表・1層別の方法方法作業班,直,組,男女,年齢,経験年数,検査員工場,ライン,号機,型式,性能,導入日,治工具,金型,ダイス供給者,ロット,副原料,成分,購入先,産地,購入時期作業方法,条件,測定方法,加工方法,ラインスピード時間,午前/午後,昼/夜,季節,曜日,日,月,年気温,湿度,天候,雨期/乾期運送方法,包装,良品/不良品出典:通信教育品質管理基礎講座テキスト,日科技連,2020年前ページの“層別の誤解(その1)”では,パレート図から重点指向で一番売上金額の高いビール類に目をつけ,さらに種類別販売比率より家庭用缶ビールをターゲットに絞り込みました。しかし本来の調査目的である“コロナ禍の中での家飲み需要”の状況を把握して,売上げを上げるための上手な層別となっているでしょうか。56QCサークルNo.727


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