QCサークル 2021年4月号(No.717)


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事例1ご利用者様の目線に立った介護サービスの質の向上~トイレ誘導の未実施率の低減~天神会こうのしま介護老人保健施設業務改善戦隊サークル1.はじめに私たちの職場は,看護・医学的管理のもとに介護や機能訓練を行い,ご利用者様の能力に応じた日常生活の機能維持・向上を支援し,在宅復帰を目指す施設です。私たちは,QCサークル活動を通じて,施設の理念である「その人その人に合った暮らしの支援」に基づき,ご利用者様の目線に立った介護サービスの質の向上を目指し,日々奮闘しながら仕事に取り組んでいます。0030020010010080604020(%)(回)47540061.6%累積比率排尿漏れn=475件調査概要調査結果おしめ交換未実施回数トイレの確認トイレの誘導•内容:排泄ケアの現状把握•期間:H30年9月8日〜14日•誘導対象者:18名•排泄ケアの項目2.テーマの選定と現状の把握私たちにとって,トイレ誘導などの排泄ケアは,ご利用者様が安心して気持ちよく日常生活を送っていただくための重要な使命です。しかし,排泄ケアのご利用対象者様や対応時間などは,特に決まりごとがなく,職員一人ひとりが良いと思うことを一生懸命に行っているのが現状です。そんな中,メンバーから“十分な排泄ケアができているのか?”そんな疑問の声から排泄ケアの現状調査における“十分でない”に対して,その判断基準を決め,十分に実施できていないことから“十分でない”を“未実施”と変更.現状レベルを把握したところ,“トイレの誘導が“未実施”と答えたメンバーが全体の61.6%と一番多く占めていることがわかり,「未実施回数」とは,自己評価で“十分でない”と判断したものをいう。全体の実施回数は,1日平均約81回実施。1週間では合計475回実施。トイレ誘導が十分でないと判断したものは,全体の61.5%占めていた。「トイレ誘導未実施回数」が全体の61.6%を占めていることがわかり,これを攻撃対象に改善となった。図・1パレート図による現状の把握①トイレ誘導②トイレの確認③おしめ交換④排尿漏れ「トイレ誘導の未実施率の低減」をテーマに取り組むことにしました(図・1参照)。3.目標の設定【目標設定の根拠】タイムリーなタイミングでトイレの誘導が実施できなかったことで,ご利用者様が尿取りパットに排尿してしまう“恥ずかしさや気持ち悪さを解消する必要がある”ことから以下のとおり目標の設定を行いました。トイレ誘導ができていない環境トイレ誘導者の選定ができていないトイレ誘導者の選定基準がないトイレ誘導者が多い業務が重なる利用者のケアが多い会議・委員会が多いトイレが狭い職員が少ないトイレ内の整理整頓ができていない誘導がしづらい入力方法にばらつきがある排泄記録マニュアルがない忙しい連携が取れていない排泄表に記入ができていない記入の重要性がわかっていないパッド交換で対応してしまっている職員トイレ誘導者の選定ができていないトイレ誘導者の選定基準がない身体機能低下者の誘導が多い腰への負担が大きいトイレ内が狭い勉強していない学ぶ機会がない知識がない自力で行けない尿意・便意がない場所がわからない排泄表に記入をしていない排泄記録マニュアルがない記入の重要性がわかっていないトイレに行ったか,行っていないかわからない進行状況を確認しないマニュアルの周知ができていない報・連・相ができていない連携がとれていない便座に座っても出ない情報収集ができていない知識がない学ぶ機会がない勉強していない利用者のサインに気づいていない事実の有無トイレに座りたくない◆重要要因の検証結果選定できてない末端要因大骨職員環境トイレ誘導者の選定基準がないトイレ誘導者の選定基準がない心身機能に合っていない利用者選定基準なし排泄パターンが分からない選定基準なしパッ合っていないマニュアルがない選定基準なし排泄記録のマニュアルがない検討していないマニュアルあり職員利用者記録マニュアルありトイレ内の整理整頓ができていない利用者物品が適切な位置にない使用していない物品あり影響あり排泄記録マニュアルがない記入を後回しにしている考察入力方法が統一できていないパソコンの入力忘れが多い利用者を持ち上げる介助により,職員に腰痛が生じている。トイレ内が狭く,うまく介助ができない。業務スケジュールでトイレ誘導が時間を圧迫している。トイレに座るのに疲労感がある方や心身機能を考えずにト排泄表に記入がイレ誘導対象となっている方が存在する。できていない「ほのぼの」入力方法が徹底できていない。現マニュアル記録通りでは記録に時間がかかる。排泄表,「ほのぼの」どちらも記録方法が徹底できておらず,トイレ誘導したかどうかわからない。また,記録に時間がかかる。物品が適切な位置になく,何回も取りに行ったり来たりしなくてばならないので時間ロスが生じている。ありありありありあり図・2要因の解析と重要要因の検証結果①何を:トイレの誘導未実施率②どれくらい:現状61.6%を0%にする③いつまでに:20XX年8月~20XX年1月まで(半年間)4.要因の解析「タイムリーな誘導ができていない」を特性に特性要因図で要因の洗い出しと重要要因の絞り込みを行った結果,以下の重要要因を絞り込み,検証を行いました。12310QCサークルNo.717


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