QCサークル 2020年8月号(No.709)


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解説:要因の解析1.要因の追究と検証要因解析は,現状把握で抽出した“手を打つべき問題点”の要因を「なぜなぜ分析」によって追究するものです。この段階での要因は仮説であり,問題点(特性)との相関を検証しなければなりません。2.要因解析の手順①仕事(行動)のプロセスを層別する問題を引き起こした要因は,仕事や行動のプロセスの中に潜んでいます。要因の追究は,そのプロセスを層別することから始めます。一般に4Mで層別するのは,ものづくりのプロセスが,「作業者が機械を使って材料を加工する(方法)」にあるからです。したがって,すべてのプロセスを4M(人:Man・機械:Machine・材料:Material・方法:Method)でとらえるとよいわけではありません。事務関係であれば,「担当者が資料を使ってお客様に説明する」などで層別します。これをさらに,第二階層(たとえば,人の経験・知識・人数・年齢など)まで層別しておくとよいでしょう。②考えられる要因を抽出するブレーンストーミングと親和図法を活用して,自由な発想で考えられる要因(言語データ)を収集し,層別された項目別に仕分けます。③言語データを解析(整理)する項目ごとの言語データを,「共通・独立・類似・前後」の関係性により整理します。④最末端の要因まで追究する関係ごとに整理された末端の言語データを,さらに「なぜ?なぜ?」と最末端まで追究します。最末端かどうかは,裏返した対策案が,具体的で実現可能なものかどうかで判定します。⑤解析結果をまとめる要因の関係性が,直線的か放射状か相互に絡むかに応じて,特性要因図・連関図・系統図などにまとめるとよいでしょう。3.重要要因(主要因)の推定と検証最末端となった要因は,すべてを検証すべきですが,まずは,メンバーのノウハウから推定される重要要因を絞り込みます。こうして絞り込んだ重要要因を,5W1Hなどで検証計画を立てて,現場調査・実験・データ・映像・聞取りなどで確認し,特性値との相関関係を検証します。その結果,有意性のあるものを,「真因」として取り上げます。(鈴井正巳)26QCサークルNo.709


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