QCサークル 2019年9月号(No.698)


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特集うよえ変を方き働~自工程完結視点からの業務の見直し~製造部門と異なって,本社管理部門や事務・販売・サービス部門(JHS部門)におけるQCサークル活動では,製品品質不良率や直行率あるいは有休労務災害発生率などの“悪さ”が目に見える形で把握しづらいため,どのような活動テーマを取り上げればよいのか悩むことがあります。その一方で,情報通信技術(ICT)の急激な進歩と普及を受けて業務や作業の高付加価値化が求められ,EXCELに代表されるデータの蓄積・処理・加工ツールを活用した業務のスリム化に関するテーマを取り上げるサークル活動の事例が見られるようになってもいます。さらに,企業競争の激化を受けた業務効率化に代表される高生産性への要求によって,非正規社員の導入に止まることのない“究極の業務に人を配置すること”,すなわち,“究極の業務の脱属人化”が求められるようになっています。このような背景を受けて,ここでは真に顧客(後工程)視点で見た時,「顧客(後工程)の求めるものは何か,その求めに応える私たちの業務提供価値は何か,価値提供における一連の業務プロセスのあるべき姿とは何か,現状の業務プロセスは本当に高生産か」といった視点から「働き方を変えよう~自工程完結視点からの業務の見直し~」というテーマで特集を編集することといたしました。実は,各種のITツールを活用した高生産・高効率・高付加価値提供をねらった業務プロセス革新に挑戦しようとするスタッフや高度技術者たちによる革新的なプロジェクト活動に負けない,あるいは,それらを越えたQCサークル活動が立ち上がっているのです。しかも,そうした活動では,①既存の業務プロセスの(箸の上げ下ろしまでの)詳細な展開,②業務実態に対する動作研究にも似たIE的視点からの愚直なデータ(事実)収集・分析による無付加価値業務の発見,③そうした業務における3ム(ムダ・ムラ・ムリ)の発生要因の分析,④業務実施段階における出戻り業務や追加業務の発生(3ム)を引き起こした不測事態の発生に対する計画段階での深読み不足発生要因の分析などが基本となっていることがわかります。本特集をお読みいただければ,「属人化からの脱却」を実現するためには,QCストーリーの基本である「QC的ものの見方・考え方の実践」,「三現主義(現地・現物・現実)に立脚しつつ“自工程完結のPDCAレベルアップシート”や“標準作業組合せ表”による愚直な事実の把握」などが本質であるとわかっていただけると期待します。ぜひ,最後まで読んでください。(猪原正守)近畿編集小委員会9月号特集メンバー委員長/猪原正守委員/荒木孝治,北川泰弘,北廣和雄,清水義治,高木美作恵,田中創,名倉三加代,花田貴志,山﨑崇,山来寧志2019年9月号9


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