QCサークル 2019年5月号(No.694)


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連載講座質問その①統計を勉強すると,「正規分布」という言葉をよく耳にするのですが,正規分布って何ですか?ヒストグラム(図・3(1)(2))の縦軸を(各区間の度数)/(総データ数n)の相対度数に変換し,データ数を無限大に近づけ,区間幅を狭めることによって0に近づけていくと,ヒストグラムの輪郭線は図・3(3)のように滑らかな曲線に近づいていきます。この曲線をf(x)と表し,確率密度関数(F(x)を微分したもの)と呼んでいます。よく管理された工程で製造された製品の品質特性の計量値は,平均付近の出現率が高く,平均値から離れるに従って出現率が低くなり,左右対称な釣り鐘型をした確率分布となります。このような分布を正規分布といいます。なお,図・3(3)のμは母平均を表し,σは母標準偏差を表します。規格外れ(図・3におけるSL以下とSU以上のハッチングされた部分)の確率は,図・3(3)のハッチング部分の面積となりますので,f(x)を積分することによって求めることができます。図・3ヒストグラムと正規分布出典)永田靖:『品質管理のための統計手法』(日本経済新聞出版社,2006年)現場で扱うデータをはじめ,あらゆるデータから作成される正規分布はどのように示したらよいのでしょうか?上述の正規分布曲線は,現場で扱うデータをはじめ,株価の収益率,身長や体重などの様々なデータが従う分布であると考えられています。正規分布の確率密度関数は,母平均μと母標準偏差σ(あるいは母分散σ2)で決まり,その正規分布をN(μ,σ2)と表記します(図・4参照)。この時のμとσを母数(パラメータ)と呼びます。X軸の範囲は-∞から∞まで存在し,正規分布曲線は決してX軸には着地しません。54QCサークルNo.694


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