QCサークル 2018年12月号(No.689)


>> P.11

連載講座QC検定受検講座連載講座「QC検定受検講座」小委員会メンバー委員長/松田啓寿委員/遊馬一幸,大津渉,木内正光,長塚豪己,平野綾子第12回組織的な品質管理QC検定受検講座(3級対応)は今回が最終回です。これまでの1回から11回までは品質管理のための概念や手法についての情報をお届けしてきました。最終回は「品質管理」を職場のみなさんで実現する,「組織的な品質管理」について紹介します。「組織的な活動」とは別の表現を使うとすると,「職場の役割を全員で実現する取組み」といえます。日々の業務はそれぞれ分担して運用していますが,一人ひとりの仕事の出来栄えは,自分自身では見えていないことが多いのです。職場の仲間で一緒に製品・サービスの質や業務の質を見える化することで,次のステップへ挑戦し成功する可能性が高くなります。チームでの取組みは,自分の気づいていない側面を知ること,仲間が気づいていないよい点や改善の機会を提供することで,1+1=2よりも大きな成果を実現することが可能になります。「全員参加」といいます。一見手間のかかる作業にも感じますが,これが実現できるかどうかは,職場のパワーアップに大きな影響があります。製造の現場では,毎日の計画に沿って製品を実現して,後工程に製品をリリース(次のプロセスに進める)しています。その際,何が一番大切かというと「予定通りにリリースすること」でしょう。ただ,それぞれの職場(プロセス)には様々な変動要因があります。機械設備の調子がよくないとか,外部委託した部品の寸法があっていないとか。さらには大雨が降って出荷するためのトラックが遅れそうだとか,現場のオペレーターが出勤できないなどなど。職場のミッションである「予定通りに…」を実現する,さらには継続するうえでは,いろいろなリスクがあります。業務の運用にあたっては,「目的」,「目的実現のためのプロセスの明確化」,「必要なヒト・モノ・情報などの提供」…が整ってこそ,その使命が達成可能になります。上記のような変動要因は同じことの繰り返しである場合がほとんどです。したがって,これらに対応するためには,機械設備の整備状況を見える化してこれを維持したり,外部委託している部品寸法の工程能力を監視測定したり,部品調達ルートを複数準備しておいたり,人数が不足しそうな作業に割り振るオペレーターの代替要員を揃えたり,といった対応をあらかじめ定めておくことが有効です。2018年12月号51


<< | < | > | >>