QCサークル 2018年1月号(No.678)


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1.人はこんなことがあると,こんな風に変わります教えられる側(聞き手)が熱心だと,教える側(話し手)も熱心になるし,逆に教えられる側に意欲が感じられないと(たとえば居眠りをしているとか),教える側も意欲がなくなるものです。「教える」という行為は,それなりの精神的,肉体的エネルギーも,さらには事前の下準備も必要になることもあります。結果として,教えたことが教えられた人の役に立てば,教えた人もうれしいものです。また,せっかく教えたのに,教えたことが役に立っていない,教えたとおりにしてない,などとなると,教えた人は教えたことが無駄だったと残念な気持ちになり,意欲も失います。2.そんな心の変化が起きるメカニズムとは?前ページのベテランメンテナンス技能者は,かつて,「せっかく教えたのに……」という経験をしているはずです。そのようなことは,ある程度の期間,仕事をしていれば,誰しも経験することでもあります。教えられる側の反応を気にせず,物事を教えるということもありますが,多くの場合は相手の反応を見ながら教えるものかと思います。一方,教える側のスキルとして,たとえば10のことを教えるには,倍の20,あるいはそれ以上の知識,技能,経験がないと,なかなかうまく教えられないものです。物事を教えるためにはそれなりの余力,余裕も必要になってきます。人に教えるからには,教える側もそれなりのスキルアップが必要になる,別の見方をすれば,教える側のスキルアップのチャンスでもあるということです。3.人の心に変化を起こさせるにはどうしたらいいのでしょうか?教えられる側は,「教えてもらう」,「教わる」ではなく,自ら学ぶという姿勢が大切です。それによって教える側の意欲を最大限に引き出せ,教えられる側も,ただ話を聞くだけでなく,事前の予習や教わった後の復習も行うようになります。そのことにより,教える側も教えられる側も,共に学ぶという姿勢になってきます。そこで本編のサブタイトルでもある共に学んで育つ,つまり共育というキーワードが表れてきます。社内研修などで社員を講師にするケースが多々あります。これは外部講師を招へいしないで済むコストメリットもさることながら,それ以上に講師に任命した社員の人材育成の目的があります。前ページの事例は,教えられる側の変化により,教える側にも変化が生まれ(意欲が湧いてきて),スパイラルアップができた事例です。スパイラルアップのきっかけは,どちらかというと,教えられる側の変化によって始まった事例のほうが多いのではないでしょうか?4.QCサークル活動への応用改善テーマで,ベテランサークルメンバーと若手サークルメンバーを組み合わせることにより,若手メンバーへの生きた教育ができます。ベテランメンバーも若手メンバーに教えることにより,改善テーマでの今まで見えてなかった側面が見えてくる,というメリットもあります。また,ベテランメンバーが「学ぶ」という姿勢を見せることにより,ほかのメンバーも刺激され,サークル内がより活性化されるというメリットが生まれます。上司や推進責任者は各サークルがそのようなスパイラルアップになるようなメンバー構成や学びやすい環境づくり,共に学ぶ仕組みづくり,環境づくりを進めていくことが大切です。(遊馬一幸)人が変わる,人を変える2018年1月号11


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